愛知県の周産期医療対策

愛知県周産期医療の現状と課題

母子保健関係指標の状況

  • 現状

    • 令和4(2022)年人口動態調査によると、愛知県の出生数は51,152人、出生率(人口千対)は7.1(全国6.3)、乳児死亡数は95人、乳児死亡率(出生千対)は1.9(全国1.8)、新生児死亡数は44人、新生児死亡率(出生千対)は0.9(全国0.8)、周産期死亡数は151人、周産期死亡率(出産千対)は2.9(全国3.3)、死産数は885人、死産率は17.0(全国19.3)、妊産婦死亡数は3人、妊産婦死亡率(出生10万対)は5.8(全国4.2)となっています。
    • 医師・歯科医師・薬剤師統計によると、令和2(2020)年12月31日現在で愛知県内の主たる診療科を産科・産婦人科とする医療施設従事医師数は718人となっています。平成22(2010)年12月31日時点と比べると126人増加しています。
    • 令和2(2020)年保健師等業務従事者届によると、病院に勤務する助産師数は1,268人、診療所に勤務する助産師数は738人となっています。また、地域や医療機関による偏在があります。
  • 課題

    • 新生児死亡率、周産期死亡率及び妊産婦死亡率は低い水準で止まっていると考えられますが、今後も本水準の維持が必要です。

正常分娩に対する周産期医療体制

  • 現状

    • 令和5(2023)年7月1日時点では、分娩を取り扱っている病院は46か所あり、診療所については75か所あります。
    • 東三河北部医療圏においては、分娩を扱っている医療機関はありません。
    • 令和5(2023)年4月1日時点では、院内助産所は7か所の病院で、助産師外来は26か所の病院で整備されています。
  • 課題

    • 分娩取扱医療機関の確保に向けて、適切な支援を行う必要があります。
    • 病院勤務の産科医師の負担軽減のため、院内助産所や助産師外来の整備などをより一層推進していく必要があります。

ハイリスク分娩に対する周産期医療体制

  • 現状

    • 診療体制の整備された分娩環境や未熟児に対する最善の対応など、充実した周産期医療に対する需要の増加に応えるため、地域において妊娠、出産から新生児に至る高度専門的な医療を効率的に提供する総合的な周産期医療体制を整備し、安心して子どもを産み育てる環境づくりを推進しています。
    • 令和5(2023)年4月現在、総合周産期母子医療センターは7か所、地域周産期母子医療センターは12か所で指定し、ハイリスク分娩等に対応しています。
    • 周産期母子医療センターでは多くの施設で外来診療により、精神疾患を有する母体に対応しています。また、必要に応じ入院診療可能な4大学病院と連携を図っています。
    • 高度で専門的な周産期医療を提供する大学病院やあいち小児保健医療センターは、総合周産期母子医療センター等と連携して適切な医療を提供しています。
    • 地域周産期母子医療センターがない2次医療圏がありますが、近隣医療圏との連携により適切な周産期医療体制の整備を図っています。
    • 愛知県周産期医療協議会において、地域の実情に応じた周産期医療体制の整備に関する事項等に関して検討及び協議を行っています。
    • 令和4(2022)年4月1日現在、診療報酬加算対象の母体・胎児集中治療室(MFICU)の病床は日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院に9床、名古屋大学医学部附属病院に6床、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院に6床、名古屋市立大学病院に6床、愛知県厚生農業協同組合連合会安城更生病院に6床、豊橋市民病院に6床、藤田医科大学病院に6床の計45床あります。
    • 令和5(2023)年5月1日現在、診療報酬加算対象の新生児集中治療室(NICU)の病床は周産期母子医療センターを中心に187床あります。多くの周産期母子医療センターでNICUの稼働率が80%を超えています。
    • 総合周産期母子医療センターは県内全体から患者を受け入れており、MFICU及びNICUは慢性的に満床に近い状態となっています。
    • NICU・新生児回復期治療室(GCU)には病状や社会的事情など様々な要因により長期入院している実態があります。
    • NICU等の後方支援病床としての機能を持つ、本県の重症心身障害児者施設(医療型障害児入所施設・療養介護事業所)の定員は758人で、人口1万人当たりの整備率は令和5(2023)年4月1日現在で1.01となっており、類似の都府県並みの状況(全国42位)にあります。
  • 課題

    • 国の周産期医療の体制構築に係る指針によると、出生1万人当たり25床から30床のNICUの病床が必要とされています。本県に当てはめると128床から154床程度であり、現状では指針に基づく必要病床数は満たしていると考えられますが、一時的に満床となり受入れが困難となる場合があることから、安心して出産ができるよう、引き続き質の高い新生児医療を効率的に提供する必要があります。
    • 長期入院児への対応について、関係機関と連携を図っていく必要があります。
    • NICU等の後方支援病床の整備を図る必要があります。
    • NICU長期入院児が在宅で安心して生活できるよう医療・福祉の連携体制を進める必要があります。

災害時における周産期医療体制

  • 現状

    • 本県の災害時における周産期医療については、(公社)日本産科婦人科学会による大規模災害対策情報システム「PEACE」を活用して連携を取ることとしています。
  • 課題

    • 災害時における周産期母子医療センターの体制確保を図る必要があります。
    • 産科医療機関と周産期母子医療センター間での災害時の連携体制について、検討していく必要があります。

新興感染症の発生・まん延への対策

  • 現状

    • 新興感染症の発生・まん延時においても、地域の周産期医療を確保するために、妊産婦の受入先等を含めた医療提供体制を関係機関と協議します。
  • 課題

    • 適切に妊婦のトリアージや入院等に係るコーディネートを行う体制を構築する必要があります。

医療体系図

医療体系図

周産期母子医療センター

周産期母子医療センター

周産期母子医療センター 項目の説明

今後の方策

  • 周産期ネットワークを一層充実強化し、安心して子どもを産み育てる環境の整備を進めます。
  • 原則として、総合周産期母子医療センターと救命救急センターとの併設を促進します。
  • 周産期母子医療センターは、実情に応じて、精神疾患を有する母体に適切に対応する体制の構築を図ります。
  • 産科及び産婦人科と産科及び産婦人科以外の診療科との連携体制の構築を図ります。
  • NICUにおいて質の高い新生児医療を効率的に提供できるよう図ります。
  • NICU長期入院児等が円滑に在宅ケアへ移行できる体制づくりに引き続き取り組んでいきます。
  • 災害時における周産期医療体制の構築を図ります。
  • 新興感染症の発生・まん延時における周産期医療体制の構築を図ります。
  • 既存病床数が基準病床数を上回る圏域において、周産期医療の提供の推進のために診療所に病床が必要な場合は、医療審議会の意見を聞きながら、医療法施行規則第1条の14第7項第2号の診療所として整備を図ります。

事業内容・計画と実績

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