研究内容

産科

医療従事者向け資料・ツール

妊娠高血圧症候群や妊娠中の
環境が児の発達に与える影響

妊娠中の高血圧や、炎症、投薬、栄養などは、胎児の臓器や脳の発達に長期的な影響を及ぼしている可能性があります。本研究室では同意の得られた妊婦から臨床検体(母体血、臍帯血、羊水、胎盤、臍帯)を採取・保管し、解析に用いています。また、小児科との共同研究で新生児の頭部MRIを解析し、妊娠高血圧症候群、絨毛膜羊膜炎、ステロイドが新生児期の脳に影響を及ぼしている可能性を明らかにしました(Ushida et al. Pregnancy Hypertens. 2021, Katsuki et al. Early Hum Dev. 2021, Nosaka et al. Arch Gynecol Obstet. 2024, Fuma et al. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2024)。動物実験では妊娠高血圧モデルマウス、母体炎症モデルマウス等を用いて、母獣の環境が仔の脳に与える影響を研究しています(Imai et al. Free Radic Biol Med. 2016, Fuma et al. Commun Biol. 2025)。

妊娠前・妊娠中の
生活の改善による
妊娠合併症の予防

体重増加、食事、運動、睡眠など、生活を改善することで妊娠高血圧症候群に代表されるような妊娠合併症を予防できないか研究しています。地域の各施設から収集した臨床データや、IoTから得られたリアルワールドデータを用いて、患者教育を含めた疾患予防アルゴリズムを構築し、当科のインターコンセプション外来での情報提供に還元しています(Ushida et al. Hypertens Res. 2024, Tano et al. Hypertens Res. 2024)。

生殖補助医療における
癒着胎盤症候群の関連因子の同定

生殖補助医療、特にホルモン補充周期凍結胚移植において癒着胎盤症候群の頻度が増加することが報告されています。癒着胎盤症候群では分娩後に胎盤剥離が困難となり、分娩後大量出血のリスクとなります。分娩前に癒着胎盤症候群を予測することは難しいため、臨床研究により癒着胎盤症候群に関連する因子を同定しました(Matsuo et al. Reprod Med Biol. 2024)。現在ホルモン補充周期凍結胚移植における癒着胎盤症候群の病態生理に関する基礎研究もはじめています。

周産期予後改善を目的とした
細胞外小胞に着目した
包括的アプローチ

あらゆる生細胞が放出する細胞外小胞は、内部にタンパク質、核酸、脂質等を含み細胞間の情報伝達を担っていることが報告されています。今までに、先天性横隔膜ヘルニアという出生後に呼吸障害で亡くなる可能性がある重症な疾患の予後を羊水中細胞外小胞を用いて高精度に予測できることを報告しました(Matsuo et al. J Extracell Biol. 2024)。現在は妊娠高血圧腎症に関する研究もはじめています。

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